○秘大奥外伝
尼寺淫の門

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◆スタッフ◆
企   画……………結 城 良 煕
脚   本……………中 島 丈 博
監   督……………藤 井 克 彦
撮   影……………萩 原 憲 治
照   明……………熊 谷 秀 男
編   集……………井 上 親 弥
録   音……………木 村 瑛 二
助 監 督……………程 原   武
製作担当者……………斉 藤 英 宣
スチール………………目 黒 祐 司
◆キャスト◆
お き よ……………小 川 節 子
照   観……………宮 下 順 子
順 徳 尼……………花 柳 幻 舟
お せ ん……………林   美 樹
お も ん……………小 森 道 子
お み つ……………あ べ   聖
孫 三 郎……………益 富 信 孝
貝原敬之介……………大 泉 隆 二
将軍家重………………浜 口 竜 哉
◆ストーリー◆ 
 正月七草のお祝いに奉仕した大奥女中のおさよは将軍家重の目にとまり、夜伽を命じられた。お年寄松川を始め、部屋中の女たちは彼女の出世に大喜びだったが、結婚を前に行儀作法の見習いのつもりで出仕していたおさよにとっては青天のへきれきだった。家重は震える彼女を思う存分弄び満足のていであったが、ほどなく果て、そのままぐったり動かなくなってしまった。
 家重の死去で大奥の女たちは総入替えになり実家へ帰されたが、将軍の手がついた中臈だけは桜田御用屋敷に送られた。その屋敷は江戸の町人たちから「比丘尼屋敷」と呼ばれ彼女らは将軍の冥福を祈りながら仏に仕え、再び屋敷外へ出ることはきなかった。若い彼女らにとって、念仏三昧の明けくれは地獄の責め物苦置にも似た懊悩の日々であった。
 ある夜、猫のサカリ声に寝つかれずにいたおさよの寝室に人影が忍び寄った。先代将軍のお手付き中臈照観であった。彼女は順徳尼からの頂きものと称してやって来たのだが、いきなりおさよを抱きしめた。おさよは驚き抵抗したが、火をつけられた肉体は次第に燃えた。二人の密事は忽ちバレて、照観はもとの下働きに戻され、翌日首を吊って果てた。
 そんなある夜、比丘尼屋敷に逃げ込んだ男があった。丁度、庭に出ていたおさよは、とっさの気転で男を土蔵へ匿まってやり、おみつやおもんと、他の者に気づかれぬよう代るがわる男の肉体をむさぼった。数日後、叔父の貝原弥左衛門の死去で外出を許されたおさよは嬉しさと悲しさが入り乱れて複雑だった。
 一生嫁を迎えないという許婚者の敬之介に後髪を引かれる思いで別れたおさよは、帰途、老中水野家に放火した犯人が比丘尼屋敷に匿っている男、孫三郎と知って驚くが、現在の彼女にとってそんなことはどうでもよかった。彼女も孫三郎に砲一かれることで、懊悩の業火をかき消すことができるからだった。
 将軍の一周忌が近づいた頃、孫三郎は古井戸の中に仕掛けられた横穴へ移されたが、過って落ち、死んでしまった。しかし、この一件は順徳尼の計らいで、逃げ込んだくせ者が井戸に落ちて死んだこととして古井戸は埋められた。
 やがて一周忌参列の使者が比丘尼屋敷を訪れた頃、おさよはあらぬことを口走りながら遠い空を見つめていた