花芯の刺青
熟れた壺

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プロデューサー………伊 藤 亮 爾
企   画………奥 村 幸 士
脚   本………松 岡 清 治
監   督………小 沼   勝
撮   影………森     勝
照   明………川 島 晴 雄
編   集………西 村 豊 治
音   楽………樋 口 康 雄
録   音………土 屋 伊豆夫
助 監 督………高 橋 三 郎
製作担当者………田 中 雅 夫
スチール………目 黒 祐 司
▼キャスト▲
吉野みち代………谷   ナオミ
 〃たか子………北 川 たか子
冬   子………花 柳 幻 舟
芳   子………結 城 マ ミ
尾形ヒデオ………中 丸   信
辰    ………蟹 江 敬 三
貝   島………長     弘
スナックの客………小見山 玉 樹
      ………北 上 忠 行
      ………近 江 大 介
      ………水 木 京 一
      ………伊豆見 英 輔   
◆解  説◆
 歌舞伎の伝統的な世界、江戸千代紙人形作りと古風ななかに育ち、そして生きた女とドライな義理の娘の二人が、一人の男をはさんで織りなす凄艶な肉欲の執念を、監督小沼勝が絶妙な切れ味と微妙なねちっこさで描いた官能巨編です。
 主演は、この小沼監督とのコンビで数々のポルノ名作を世に送り出し、女王の名にふさわしい人気と実力の第一人者、谷ナオミ、そして共演には「ひめごころ」でデビュー、「熟れて開く」で好演をみせ、目下売り出し中の新人で勝気な役にピッタリの北川たか子です。
 また、彫師の凡天太郎が出演し、実際に刺青を彫っているところをお見せするとともに大熱演しています。
◆物  語◆
 歌舞伎座出入りのかつら職人の娘だった吉野みち代は、幼い頃からこの古い伝統の世界に慣れ親しんで育ったせいか全く古風な女だった。みち代は、江戸千代紙人形師の後妻となったが半年で夫に死に別れ、義理の娘のたか子と二人きりで暮らしてもう十年になっていた。その間、かたくなに貞操を守り通し、ひたすら紙人形を作って生計を立ててきた。一方、大学生のたか子は現代的なドライな娘に育ち、カメラを手に飛びまわっていた。しかし、たか子は何かと。ママのみち代に女としてのライバル心を燃やすようになっていた。
 残暑のきびしい日だった。みち代は、人形問屋の貝島を訪ねたが、そこで、無理矢理慣れぬ酒を飲まされ酔ったところを不覚にも貝島に犯されてしまった。犯されながら、みち代は、ふとある記憶をたどっていた。
 舞台の奈落の底で、娘道成等の蛇面、蛇身の花裳をまとった男に犯されたあの少女時代の鮮烈なイメージがみち代の脳裏によみがえったのだった。その蛇身の男は、みち代があこがれていた役者、尾形珠三郎だった。
 ある日、貝島がみち代の家にやって来た。貝島は、みち代の味が忘れられないのかみち代に強引にのしかかっていこうとするがその時、たか子が帰ってきた。貝島はあわててみち代の家を出たが、たか子も飛び出したままだった。そんなときたか子は軽い自動車事故に遭った。加害者の知らせで病院に駆けつけたみち代にたか子は「帰ってよ。ママの顔なんか見たくもないわ!」と追い返すのだったが、そこにいた加害者の青年、尾形ヒデオの顔を見てハッと息を呑むみち代に、ヒデオは一瞬見とれてしまった。
 ある日、ヒデオがみち代の家を訪ねて来た。そこで、ヒデオが珠三郎の忘れ形見であることがわかった。その時、二階で寝ていたたか子が降りてきて強引にヒデオを上に連れていき誘惑した。積極的なたか子のなすがままにされているうちにヒデオも燃え始め、全裸で絡み合い、もつれ合いながら二人とも絶頂へ昇りつめていった。
 しばらくして、みち代はヒデオの家に招かれ、珠三郎の遺品を見せてもらった。そのなかにあの道成等の蛇の衣裳を見つけた。彼女は異常な興奮にせめられたその興奮のさめやらぬうち、おのずとヒデオに抱かれてしまうのだった。それは、二匹の蛇のように絡みあい、お互いの生命を吸い尽くすように喘ぎ悶える凄惨な光景だった。二人は、そのまま朝を迎えた。しかし、心配したたか子がふいに訪ねできた。長物の中にかくれるみち代の側で、たか子はヒデオに飛びかかっていった。たか子の欲情にヒデオも次第にたぶらかされていった。
 土砂降りの雨の中、みち代は夢遊病者のように歩いていた。そして、彫師の辰の家に入っていった。そこで、道成寺を彫ってもらうみち代だった