小松みどりの
好きぼくろ
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◆スタッフ◆
プロデューサ………奥 村 幸 士
〃 ………北 島 肇
企 画………野 路 孝 之
脚 本………佐 伯 俊 道
監 督………山 本 晋 也
撮 影………志 村 敏 雄
照 明………斉 藤 政 広
編 集………鍋 島 惇
音 楽………林 大 輔
録 音………細 井 正 次
美 術………滋 野 清 美
助 監 督………中 村 光 徳
製作担当者………岩 尾 英 一
スチール………矢 沢 和 彦
◆キャスト◆
赤嶺紫雨子………小 松 みどり
赤嶺 霞………イ ヴ
沼沢 初美………滝 川 真 子
伸 代………平 瀬 り え
章 子………橋 本 京 子
信 者………江 崎 和 代
野々村幹生………福 田 健 次
野々村健蔵………野 上 正 義
赤嶺 岳堂………大 木 正 司
六 郎………九十九 一
草 野………江 藤 漢
須 崎………若 林 哲 行
高 月………坂 田 洋一朗
山 伏………なぎら 建 壱
◆解説◆ 密教の世界に渦巻く妖しい魔手
許されぬ愛と狂心的な愛の狭間で、女心は揺れ動いていく…
主演は「ポチャポチャ小唄」で、デビュー以来、和服の似合う美人歌手として人気の小松みどり。映画初出演とは思えぬ落ちつきと、大胆な脱ぎっぶりで、その『成熟美』をいかんなく披露している。
他に、イヴ、滝川真子、平瀬りえ、らが華やかさに色を添えている。
監督は、「愛染恭子の未亡人下宿」で久々にメガホンをとった山本晋也。お得意の軽妙なタッチとは違ったシリアスもので、真骨頂を発揮している。
◆ストーリー◆ 赤嶺紫雨子は、「仙道王呪教」本部に8年ぶりに帰って来た。教祖であり父親である岳野の葬儀の為である。
紫雨子が10オの時、母夕子が死んだ。信者たちの噂では、夕子が男をつくり、それを知った岳堂の追求に堪えられなくなった夕子が首を吊ったということだった。実は、浮気の相手は事務長の野々村健蔵であり、野々村が夕子を誘惑し、教団の実権を握ろうと策略したのであった。夕子は、岳堂に浮気の相手を追求されても口を割らず、一方、野々村に対しては別れる手段として、しつこくつきまとうなら関係を岳堂にバラスと言い張った。自分の画策がバレる事を恐れた野々村は、自殺に見せ掛けて夕子を葬った。
そして、紫雨子が20オになった時、野々村は紫雨子を犯し、実権を握ろうとした。紫雨子は父に打ち明ける事も出来ぬまま、家を出たのだった。
それから8年。岳堂の死に際し、信者達は紫雨子を教主として、教団を盛りたてようとするのであるが、紫雨子にはその気がない。一方、霞といえば美しい娘であるが、時たま狂ったように男を求めるという病魔にとりつかれ、夕子の怨霊が乗り移ったと噂されるほどであった。そこで野々村は、霞を病院に隔離しようと画策するが、生前の岳堂は霞をかわいがり、それを許さなかった。
しかたなく、野々村は、自分の配下の男たちを霞にあてがっていた。そんな状況の中、岳堂の死を転機に姉妹は、野々村の執拗な野望の標的となる。
野々村は、自分の息子である幹生を紫雨子に近づけるが、紫雨子は野々村の企てに気ずき幹生を遠避けようとする。
この渦中、一人紫雨子を純粋に思慕する男がいた。湯番の六郎である。六郎は、少女の頃から紫雨子の面倒をみていたが、頭の弱い六郎が紫雨子の愛の対象となることなど、あるはずがなかった。
紫雨子が祭事を代行して、信者たちの信望を集めるようになった頃、男と別れたばかりで傷心の初美という女が教団に飛び込んできた。初美は紫雨子の店の常連客であった。彼女は紫雨子の庇護の許で過し、紫雨子に心酔してゆく。
段々とカリスマ的存在となってゆく紫雨子から信者を引き離す為に、障害となる初美を門弟に犯させた野々村は、幹生に深夜紫雨子を犯させる。野々村も今更紫雨子を放逐する事は難しいと考え、幹生に犯させ血縁を結んで実権を握ろうと考えたのである。幹生に犯されながらも、紫雨子は燃えたつような快感を押さえる事出来ない自分をなげく。
事件以来いつしか、父の野望など忘れて、紫雨子に恋する様になっていく幹生。紫雨子も知らず知らず、幹生を求めるようになってゆく。そんな自分に苛立っていた時、六郎が慕う心を吐露しようとすると、「おまえのようないやらしい目で見られるのは不愉快だ。」と罵り、傷つく六郎。
霞は、紫雨子と幹生の関係に気づき、街へ二人を誘いだす。シティホテルで、今まで秘めていた互いの心と体は燃えあがる。幹生の腕の中で至福の時を過ごす紫雨子。
教団に戻った紫雨子は、初美から野々村の策略を聞かされる。更には教団の将来を憂いてやまない草野の調査から、母の死の真相と野々村の陰謀の詳細を知った。
そして、本殿に野々村を始めとして幹生、霞、初美、伸代、草野ら一同を集め、祈願を終えた席で、紫雨子は教祖の座を辞し、野々村の陰謀の数々を語りあげ、失脚を決めた。残された幹生は、父の強引な指示とは言え、紫雨子をおとしめた事に心を痛める。
紫雨子も幹生の純真な心を知りつつも幹生との別れを決意する。それは、意外にも六郎に起った出来事ゆえであった。六郎は、紫雨子を慕うあまり言われるままに自ら盲目になってしまったのである。この狂心的な愛に呆然とする紫雨子ではあったが、幹生とのむくわれぬ愛を棄て…。
紫雨子は、引き裂かれた心と体の表象としての六郎を生涯背負い続けようと心に決めた。
夜の街でひっそりと小料理屋を営む紫雨子の胸に、忘れられぬ幹生との一夜の想い出が深い傷跡となって居ることを誰も知る人はいない…