天使のはらわた
赤い淫画

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◆スタッフ◆
原   作……………石 井   隆
プロデューサー………結 城 良 煕
企   画……………成 田 尚 哉
脚   本……………石 井   隆
監   督……………池 田 敏 春
撮   影……………前 田 米 造
照   明……………木 村 誠 作
美   術……………菊 川 芳 江
編   集……………川 島 章 正
録   音……………小野寺   修
助 監 督……………児 玉 高 志
製作担当者……………服 部 紹 男
現   像……………東映ラボテック
◆キャスト◆
土屋名美………………泉   じゅん
山下聖子………………伊 藤 京 子
阿川恵子………………沢 木 美伊子
瞳………………………栗 原 陽 子
山  田………………山 科 ゆ り
聖子の母………………関   悦 子
デパートガール………麻 生 みちこ
木村健三………………阿 部 雅 彦
阿  川………………鶴 岡   修
角………………………末 井   昭
聖子の父………………三 谷   昇
岡………………………北 見 敏 之
編集者…………………松 風 敏 勝
変質者…………………港   雄 一
◆解説◆ 不本意にもビニール本のモデルになってしまった女。恋人は去り、会社も辞めさせられ大都会を彷捜しながら堕ちていく。そんな女にやさしく近づいたのは、ビニ本を見て想いをつのらせた若い男だった。二人は夜の街で再会を約束するが……。
 悲しい運命の女『名美』を描く「天使のはらわた」シリーズ4作目。
 主演は、悪女のイメージでロマンポルノを渡り歩く泉じゅん。 監督は、鋭利なタッチの池田敏春。
◆ストーリー◆
 デパートに勤めている土屋名美は、同僚の瞳にアルバイトを世話された。適当に働き、適当に遊ぶ名美にとって単なる気分転換のつもりであったが、仕事がビニ−ル本のモデルだとわかった時は強引にカメラマンにくどかれていた。一日五万円であったが、なかば強制的に裸に剥かれ、容赦なく撮影されてしまった。名美はいつの間にか覚悟を決めてしまっていた。
 数ヶ月後、名美は瞳に再びモデルになるよう誘われた。名実のビニ本が「赤い淫画」というタイトルで市場に出回り、爆発的な売れゆきをしており、カメラマンが続篇を作りたがっているという。名美は断った。それでなくとも、最近変な電話がかかってきたり、不審な男に尾けられているのだ。すべてはビニ本のせいだと名美は思っていた。上司の阿川と情事にふけり、なんとなく悲しい気分で朝を迎える、というのが自分に似合いの生活であるのだ、と言いきかせた。
 そんなある夜、名美は帰路、男に尾けられた。危険を感じた名美は走り出し、地下鉄を乗り換え、オフィス街を抜けて振り切ろうとしたが、男はしつこく追いかけて来た。地下街の公衆便所へ駆け込み、偶然ガードマンが通りかかり難をのがれた。名美は恐怖を感じた。ビニ本のモデルになっただけで見知らぬ男たちが、自分の知らないところで行動を起こしている。
 数日後、名美は会社を辞めさせられた。阿川との情事が奥さんにバレたことと、ビニ本が会社で話題になってしまったのだ。名美は自分がわからなくなっていた。「皆、勝手に私を通り過ぎて、勝手に憎んでいる」と。フラフラと夜の街をさ迷っている名美に、若い男が声をかけた。村木健三といい、名美のビニ本を見て、名美への思慕が余ってきっかけを狙っていたのだと言う。数日前の尾行も健三であった。しかし、いたずら電話や毎夜のうろつきは違うということだった。健三は必死で名美への想いをうちあけた。「男は皆同じ」と取り合わぬ名美だったが「もう一度だけ、騙されついでにね」と、明日の夜七時に会うことを約束する。堕ちていく予感を抱きつつも健三に賭けてみたのだ。
 健三のアパートの隣には、聖子という少女が住んでいた。窓ごしに目を合わせる程度だったが、健三が帰宅すると聖子は暴漢に犯され殺されていた。アパートでは日頃から下着泥棒や痴漢が出没し、健三が怪しまれていた。
 聖子の事件はすぐ健三と結びつけられ、聖子の父は逆上して猟銃を健三へブッ放した。健三は肩から血を流して街を逃げ回った。
 約束の日、名美は待合せの場所に立っていた。約束の七時をもう一時間も回っていた。行き交う人々の話し声が聞える。「若い男が血だらけで死んで、救急車で運ばれたらしい」
 そんな話をヨソに名美は溜息をつき帰ろうとした。すると夜の地下道に傷口を押え苦しそうに立っている健三の姿が見えた。ニッと笑った健三に、名美は安堵の色を見せたが涙がとめどなく流れてきた。