団鬼六
女美容師縄飼育

スタッフプロデューサー:結城良熙・企画:奥村幸士・脚本・監督:伊藤秀裕・撮影:安藤庄平・照明:木村誠作・録音:伊藤晴康・美術:中沢克巳・編集:川島章正・音楽:甲斐八郎・助監督:加藤文彦・制作担当:三浦増博・スチール:井本俊康
キャスト美沙:麻吹淳子・沙貴:志麻いづみ・理子:沢木美伊子・一平:中丸信・雄一:佐瀬陽一・綾子:南寿美子・チンピラ:上野純・光夫:木下隆康・雪子:布施絵理・通り魔:松田章
解  説
 妖しく揺らめくSMの倒錯の世界。アブノーマルな愛戯に酔いしれ、のめりこむ牝犬が一匹、一人の男をめぐり牙をむき出しにする。退廃的なSEXに耽溺し、官能の渦の中に身をゆだねる女を描いた緊縛の極致とも言える団鬼六シリーズのSMポルノ。
 主演は、SMの女王・麻吹淳子で、ポルノ度ドアップの迫力ある責め地獄に引きずりこまれる美容師を好演している。他、SM初体験、ぬけるような白い肌に喰い込む縄目が痛々しい志麻いづみが体当りで競艶している。
 監督は、にっかつ・ニューウェーブの旗手伊藤秀裕で、底知れぬSM地獄に磊落していく女をハードに描いている。
◆ストーリー◆
  美容院・ビューティサロンミサの経営者美沙は、ある日、ふとしたことから一平という男と出逢う。それは運命的出逢いであった。一平はSMもののハードなビニ本用の淫写をしているカメラマンで、美沙はそれを知るよしもなかった。
 ある日、一平は自分のアパートでセーラ服ものの緊縛撮影で少女・李里子をモデルに迫力ある縛りのシーンを接写していた。鋭い気迫を感じさせながら、突っ伏してカエルのように畳に這わされた季里子を、一平はバックから狙う。カシャ、カシャというシャッター音は、初体験の李里子を大胆にさせた。その時、突然、一平のアパートに美沙が訪ねてくる。動揺を隠しきれない一平を無視して美沙は勝手に入りこんだ。雑然とした部屋の奥の四畳半に李里子が緊縛されているとは知らない美沙は、一平に抱きついていった。もつれるように崩れていった二人は躰を重ねて、絡み合う。その時、尿意をもよおした李里子が這い出してきた。天を仰ぐ一平を尻目に、羞恥と嫌悪の狭間で狂ったように絶叫しながら、美沙は外へ飛び出していった。
 数日後、見習い美容師を連れてショッピングをしていた美沙は、一平が尾行してきているのに気づく。一平は、美沙に接近すると、唐突に「貴女を縛ってみたい」と耳うちし、さらに逃げようとする美沙に、とりとめもなく淫らな言葉をささやきかけてきた。しかし、さらに逃げようとする美沙に、とりとめもなく淫らな言葉をささやきかけてきた。しかし、目前の警官の出現に一目散に逃げていく。
 美沙は、美容院で落ちつかない毎日を徒らに過していた。ヒスティリックになっている原因が一平であるのは美沙にはわかっていた。そこへ若妻の沙貴がカットにやってくる。沙貴は、SM愛好家の夫が蒸発し、一人取り残されていた。「この頃、健康的なことが、つくづく退屈だと思うようになったワ。」と告白する沙貴の言葉が美沙をドキリとさせた。
 がまんできなくなった美沙は、翌日店のブラインドを降ろし、一平のアパートを訪ねる。ところが、一平は留守であった。寂しく店にもどった美沙は、突然暴姦に襲われる。それは、貴美子の恋人の雄一とチンピラ仲間であった。貴美子の口から一平に緊縛され辱かしめられたと聞いた雄一が激怒して復讐のために一平の恋人だと思った美沙を襲ったのであった。オモチャの人形のように美沙の躰はすき間なく獣たちの欲情で埋めつくされた。
 その頃、見違えるようにモダンに変身した沙貴の乗る高級車が、美容院の近くを走っていた。その時、沙貴は交差点のあたりで夫をみつけ、慌ててUターンした。沙貴の夫とは一平であった。急停車した車から降りてきた沙貴に気づいた一平は、ふりきるように走り去ると、近くの美容院にかけこむ。中に入いると、セット台の上に女が後姿で腰かけていた。グルリと回転させると、無惨な格好で緊縛され、口にパンティを押し込まれ放心状態の美沙がグッタリしていた。一平は、偶然とはいえ無防備に暴け出された白い肌に挑発されて、指先で愛撫していった。それを、窓のガラス越しに沙貴が泣きそうに覗いていた。
 その日から、美沙は積極的にアパートヘ行くと、一平の倒錯的な愛戯に酔うのだった。
 一方、自分の夫と美沙が愛し合っていることを知った沙貴は、美沙を飲みに誘い泥酔させると一平の居場所を聞き出した。そして、タクシーで一平のアパートに着いた沙貴は、タクシーの中に美沙を一人残こして、アパートの中へ入いっていった。
 翌朝、酔いも冷めて、一平のアパートにやってきた美沙は、緊縛された沙貴が一平の凄せつなファック攻勢にあっている現場をまのあたりにみた。沙貴へのジェラシーと狂おしい程の一平への思いに勝てず、美沙も裸で絡んでいった。一種異様な雰囲気の中で、組んずほぐれつのラブプレイが繰り広げられていった。SEXの後、SMの虜の二人は、一平をめぐってなじり合った。辟易した一平は、スキをみてアパートを抜け出していく。
 毒づき、悪態をつき合っていた二人も、やがて心が微妙に通い合ってきた。二人は全裸で股間をまさぐり合いながら、のぼりつめていった。しかし、その頃、一平が雄一たちに撲殺されてしまったとは二人は知るよしもなかった……。